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記憶のない海


とある病院薬剤師の日常。現在のテーマは仕事と恋愛。
by rio-de-janeiro
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異動

予測されてはいたことだったが、離島に異動することになった。

異動先は、フェリーで半日、飛行機でも1時間かかる南の島。

そのことを彼に言った日、「結婚したい。」と言われた。
普段からそのようなことは言ってたけど、真面目に言われたのは初めてだった。

彼は私より4つ年上の30歳。同級生たちがどんどん結婚していき、自分もそろそろという頃だろう。実家を継がないといけないし、跡継ぎだって欲しいだろう。

私だって嫁に行ってもおかしくない年頃だけど、なんだか精神年齢が低いからか、恋愛経験が少ないからか、いまいち結婚という言葉に実感が湧かないのだ。
いつかは好きな人と結婚したい、という気持ちはあるし、彼のことを好きなのは確かなんだけど・・・。

だから、はっきりとした返事をすることはできないし、島に行くのを断ることもできないと思った。
よっぽどの事情が無い限り、離島赴任を断って今の場所に居座るなんて、そんな我が儘は通らない。そうなったら辞めざるをえなくなるだろう。

仕事を辞めて、結婚する。それは大きな決断だ。自分の人生が大きく変わるのだ。だから、そう簡単には結論を出せないと思った。付き合ってまだ3ヵ月半だし。世の中のカップルの付き合いだしてから結婚までの期間って何ヶ月くらいなんだろう?

それに、島の病院は今の病院と比べて色々な診療科があって、その分薬の種類も多くて勉強になりそうだ。だから交通の便は悪いけど、なんとなく行ってみたい気持ちはあった。

恋愛も大事だけど、仕事だって一生やりたいと思ってこの職業を選んだのだ。やろうと思ったらどこででもやれる仕事ではあるけど、色々な病院で経験を積みたいという気持ちもある。

色々な考えが頭の中でぐるぐるしててまとまらない。

私が島に行って戻ってくるまで3年、そんなには待てないと彼は言った。
これからどうするか、考えがまとまったら、彼に話そうと思う。

by rio-de-janeiro | 2006-03-16 23:24 | 恋愛
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